「住宅型有料老人ホーム」と「サ高住」。どっちが運営しやすいの?

元インキュベクス代表取締役(現:円仁会代表)の上村(かみむら)さんにお話しいただいております。

こんにちは、円仁会の上村です。

今日は、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が抱える構造的な問題」について、私自身の経験と考えをもとにお話ししたいと思います。

これから高齢者向け施設を開設しようと考えている方には、ぜひ知っておいていただきたい内容です。

こちらの動画はYouTubeでも配信しておりますので是非ご覧ください。

私がサ高住を選ばなかった理由

私は2018年頃、施設を建てるにあたり、

  • サ高住
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 看護小規模多機能型居宅介護(看多機)

といった選択肢を検討しました。

最終的には、住宅型有料老人ホームに絞りました。

その理由のひとつが、サ高住が抱える構造的なリスクにありました。

サ高住はなぜ増えたのか?

かつて、サ高住は国の後押しもあって爆発的に増えました。

建築時に建設費の半額程度を国土交通省から補助される制度があり、さらに1戸あたり120〜150万円の補助が出ていた時代もあります。

このため、医療法人や地域の事業者が競うようにサ高住を建てた背景があります。

現在も国による補助制度は全国共通の基準に基づいて実施されていて、補助金の内容は市区町村ごとに異なりますが、サ高住を新たに建てる方はいらっしゃいますよね。

サ高住の収益モデルと限界

サ高住の収益構造は非常にシンプルです。

  • 賃貸収入
  • 共益費
  • 生活支援費

これらで月額10万円前後の収入を見込むモデルが一般的です。

一見すると経営が安定しているように見えますが、入居者の介護度が上がってきたときに問題が生じます。

サ高住の“構造的リスク”とは?

サ高住は、介護度が比較的軽い高齢者を対象に設計・運営されています。
しかし、年数が経つと入居者の介護度は上がってくることがほとんどでしょう。

そのとき、もともと軽度者向けに設計された人員配置では、人数的にも技術的にも重度者への十分なケアが難しくなるのです。

このギャップこそが、サ高住の抱える構造的なリスクなのです。

住宅型有料老人ホームとの決定的な違い

一方で、住宅型有料老人ホームは違います。

住居部分に加えて、

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問診療

といった外付けのサービスを包括的に提供できる体制が整っています。

最初から医療依存度の高い方や介護度の高い方の受け入れを前提にしているため、入居後の変化にも対応できる柔軟性があります。

サ高住は「不動産投資型」、住宅型有料は「サービスビジネス型」

私が感じているもう一つの違いは、ビジネスモデルそのものです。

サ高住は、

  • 建築時に補助金が出る
  • 10年程度でサ高住としての運営義務が終了する
  • その後はマンションのように貸し出すことも可能

という点から見て、不動産投資としての側面が強いと感じています。

一方、住宅型有料老人ホームは、

  • 最初から介護・医療の提供を前提
  • サービスでの収益を目指す

という意味で、純粋なサービスビジネスだと考えています。

どちらを選ぶかは「何をしたいか」による

サ高住にはサ高住の良さがあると思います。
ですが、長期的な介護・医療サービスの提供という観点では、住宅型有料老人ホームのほうが柔軟で対応力が高いと、私は考えています。

これから施設を作ろうとお考えの方には、「建てること」だけではなく「長期的にどんなサービスを提供したいのか」という視点で、事業モデルを選んでいただければよいのではないかと思います。

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。


最後に・・・円仁会とは?

円仁会は、インキュベクスやケイスラッシュ、医療関係施設など、複数の関連会社を統括するホールディングカンパニーです。今年 1月より私は円仁会の代表取締役に就任し、よりスムーズな運営を目指して、各関連事業所の代表職を信頼できる方々に委ねております。


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