【老人ホーム運営ブログ】入居のタイミングは「病院の都合」で決まってしまいます!
お世話になります。「介護の王国」の石川です。
インキュベクスの直営老人ホームである「介護の王国」梶山店にて入居相談を担当しております。
前回、「入院中の方」の入居相談についてお話させていただきましたが、本日は、入居相談を受けるのではなく逆の「相談する側」の立場、そしてそのご事情を私のエピソードを交えながらお伝えしていきたいと思います。
入居のタイミングは「病院の都合」で決まってしまいます
実は、退院してそのまま老人ホーム等介護施設へ入居する場合、入居のタイミングは、ご本人やご家族の都合ではなく、あくまでも「病院の都合」で決まってしまいます。
ご家族の方が介護施設に入居されている、または、入居されていた方であれば、ご存じの方も多いと思います。
私事になりますが、私の父が倒れ入院した時もそうでした。
父が緊急入院した病院から連絡があったのは、急性期の治療が終わった直後でした。
「〇月〇日までに退院をお願いします」
完治であれば全く問題ありませんが、麻痺が発生しており、まだとても自宅での自立生活が送れる状態でありませんでした。
もちろん、仕事や家族との調整等もありますので、つきっきりの介護もすぐには困難です。
「退院しろと言われても・・・」
まさに『途方に暮れる』としか言いようのない状況でした。
退院調整ご担当者様にもご協力していただきながら、私たち家族は、療養型病院を中心に父を受け入れてくれる先を必死に探しましたが…簡単には、見つかりません。
結局、退院期限までに父の受け入れ先を見つけることできず、病院に頼み込んでなんとか入院を「延長」してもらいました。
その後、やっと見つけたリハビリ型の療養病院に転院することができました。
一息ついたのもつかの間、またもや迫るENT!
しかし、一息ついたのもつかの間、短期入院が基本のリハビリ型の療養病院だったため、あっという間に日数は経過し、またもやENT※が迫ってきました。
(※退院=ENT(エント):ドイツ語で退院を意味するEntlassenの略)で医療業界では通常、退院期限を指します。以下は「ENT」と記載します。)
次なる転院先を探しましたが、自宅から近隣にはそもそも療養型病院は少なく、検索範囲を広げざるを得ませんでした。
そして、たどり着いたのが、実家から車で約1時間・・・私の自宅からでは早くて2時間というかなり遠方の医療型療養病院でした。
このように「病院の都合」にご本人やご家族が合わせるしかないのが、今の日本の現状なのです。
病院がENTを設ける理由とは
それではなぜ、病院はENT(退院期限)を設けるのでしょうか?
その理由は、病棟に対する診療報酬制度にあります。
入院から一定期間が経過すると診療報酬制度の算定基準に基づき、保険診療点数が減点されて診療報酬が減ってしまいます。
病院側としては、減点される前に退院させ、空いたベッドにすぐ新患を入れる、つまり入院患者は早く退院させ切れ目なく新患を循環させることが病院経営面で重要になっているのです。
もちろん入院日数の短期化は、年々増え続ける医療費抑制のための国の政策ですので仕方のないことですが。
入院中の相談を受ける際の基本ポイントとは
それでは、入居相談をする側そして病院側の事情を踏まえつつ、改めて「入院中の方」の入居相談を受ける際の基本ポイントをまとめてみます。
①ENTはいつか?
②現時点でENT延長は可能か?
③延長可能な場合、それはいつまでか?
これら3点を確認することで、退院から入居までの日数がある程度把握することができます。
その期間内に入居の受け入れ態勢が整えられる余裕があるかどうかを判断し、入居相談を継続する対象か否かを判断するのです。
さいごに
最後に病院からの突然の退院通知に慌てないためにも入院の延長の頼み方のちょっとした“コツ”ご紹介します。
「今、検討中の施設があるのですが、入居できるのが来月中旬ぐらいになりそうなんです。ですので来月末まで期限を延長いただけませんか・・・」
このように退院できそうな日程の目処があること、入居先の事情などを医療ソーシャルワーカー(MSW)や退院調整看護師にお伝えするのです。
私がそうであったように、ただご家族だけで「受け入れ先が見つからないから」と、がむしゃらに頼むのは得策ではありません。
具体的な根拠を元にお願いすることでご理解いただけることもあります。
とはいえ、もちろん病院にも入院を延長できない事情がありますので、あくまで最後の手段としてお考えください。
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