知っておきたい!相続税対策に効果的な生命保険の活用法

お世話になります。インキュベクス青井です。

本日もケアーズ税理士事務所の鈴木佳美先生のご協力の元、相続に関するの基礎知識をお伝えしていきます。

本日のテーマは、「生命保険と相続」です。

被相続人が亡くなり、遺産相続が発生した場合、生命保険が、思わぬ相続トラブルの元になることもあります。

一方、生命保険をうまく活用することで相続税を節税したり、相続人同士のトラブルを回避することもできます。

今回は、この「生命保険と相続」の関係について鈴木先生にお話を伺いました。

生命保険の加入率は「88.7%」9割近くの世帯が生命保険に加入


鈴木先生、本日もよろしくお願いします。



よろしくお願いします。



まずは、生命保険について伺いたいと思います。

日本は生命保険の加入率が高いといわれていますが、どのくらい加入しているのでしょうか?



そうですね。日本人の多くは、当たり前のように何らかの保険に入っています。入っていない人を探すのが難しいくらい(笑)。

生命保険文化センターの調査によると、生命保険の加入率は、「88.7%」。実に9割近くの世帯が生命保険に加入しています。



9割近くの世帯が加入しているんですね。



はい。もちろんライフステージ別に生命保険の加入率は変化します。

未婚世帯は59.0%ですが、結婚すると84.6%(既婚・子どもなし)、さらに子どもが生まれると87.2%(既婚・末子未就学児)に上昇します。



なるほど。子どもが生まれ、成長するのに合わせてきちんと生命保険に加入されてるんですね。

保険の見直しが必要な理由


はい。皆さん「必要だな」と思う時に入っていると思います。

もちろん目に見えない商品だからこそ、皆さんしっかりと調べて、保険会社の担当者の説明を受けて…

でもいざ、契約をしてしまうと「いいものに入った」と安心してしまってしばらくは、見直しもなさらないというケースも沢山あるんです。



やはり定期的な保険の見直しも必要ですか?



はい。

保険に加入した時には保障内容が合っていても、時間がたてば、家族構成や働き方などに変化が生じるため、必要な保障も変わっていきます。

保険の契約は長期間にわたりますので保険も何度か見直す必要があります。



なるほど。



生命保険や医療保険に加入していても、死亡時や病気・けがをした時に十分な保障が得られなければ、その保険は役に立ちません。

しかも今は、医療保険も、カバー力っていうのがすごく充実していています。

高額な費用を(自費で)負担しなければならない最新の治療法や薬剤など健康保険等が適用されない治療にも対応しています。

また入院した場合に保障も初日から出るような、あるいは短期の手術給付金が出るようなものもあります。



保険の内容も進化しているんですね。



ええ。医療保険に加入した当時は、8日以上入院しないと対象にならないとかあったりもします。

ですので保険っていうのは、入ったらそれで良しということではなくて、保険会社の方とのコンタクトは割と本当は密にされたほうがいいと思います。

もちろん常に最新型の保険に入り直すことは難しいんですけれども(笑)。

ただ病気になる前に、より自分が求めている形の保険に見直しをするっていうのは、医療保険は特に必要ではないかなと思います。



なるほどですね。



もっと話を拡大すれば、今は自然災害や、台風も甚大なものになるので火災保険なども入り方を間違っていないかどうかのチェックが必要です。

同様に人間の体も今年のコロナ禍なんかのことにおいて医療保険で出るのか出ないのか、とかいったようなことも含めて、医療の保険は見直しが必要であると思います。

生命保険の種類について


ありがとうございます。

ところで生命保険は、様々な種類がありますよね。



はい。生命保険にはさまざまな種類の保険がありますが、大きく以下の3グループに分けられます。

生命保険の種類

(1)定期保険

保険期間に限りがあり、更新が必要な保険。終身保険に比べて保険料は安いが貯蓄性はない


(2)終身保険

生涯保障が続く保険。一定期間以上、保険料の払い込みを続けるとまとまった解約返戻金が受けられ、貯蓄性もある


(3)養老保険

満期保険金と死亡保険金が同額で、万一への備えと老後資金としての積立貯金が同時にできる

ですので、生命保険を見直す際には、現在加入している保険が上記のどのグループに属しているのか、保険の特徴は現在ニーズに合致しているのかをチェックする必要があります。



まずは、ご自身の保険内容を把握することが大切なんですね。



はい。私どもが、税理士として財産の洗い出しをして、相続税の申告書を作るにあたって、時折、保険会社の把握が漏れるケースがあります。

当然、保険金の受取人が相続人である場合には、あまり漏れるっていうことはないんですが…

たとえば上記(3)の「養老保険」のような、自分のために自分が被保険者になって、生きている間に受け取ろうと思っているような保険だったりするような場合ですね…。



ええ



受け取ろうと思っていた時に自分が亡くなってしまうと、当然「死亡した場合には誰が受取人になりますか?」っていうことになります。

あるいは(2)の終身保険年金のようなものの場合、相続人が把握しきれなくて、後から税務署が把握して「あなたこれ、保険漏れてますから、相続税、修正申告ね」っていうことがあり得るパターンがあります。

特に生きていらっしゃる間には、保険を何本も契約をされている場合もあるので財産の把握漏れがないようにしないといけません。

(被相続人が)亡くなってしまい、相続が発生した時、「どんな保険に入っているんだろう?」とか、あるいは相続人が知りえなかった保険契約って案外にあったりするものです。



そうすると、生前にしっかりと被相続人の保険の加入内容・種類を把握する必要がありますね。



そうなんです。

ただ親御さんがお一人暮らしの方であったり、高齢になってしまって、保険の見直しが出来てなかったり、介護施設に入っていて、どこに保険証券があるかわからないなど色々なケースがあります。

お子さんたちも常に常に親の側にいるわけじゃないので、保険契約の把握っていうのは、案外、漏れている事がよくあるんです。

だからこそ、先ほどお伝えしたように、わざとではないけれども、税務署への申告漏れが発生してしまうということが生命保険には、起きえます。



できるだけ早めに保険内容を確認されることが大切なんですね。


はい。もちろん保険の種類を確認・把握することもとても大切ですが、それ以上に「誰を受取人にするか」ということがとても重要です。



保険金の受取人ですね。

本日のテーマである「生命保険と相続」に近づいてきました。

生命保険のメリット 受取人を指定できます


はい(笑)。

実は生命保険は、受取人が指定できることが大きなメリットです。

自分が被保険者であり、また契約者になる場合には、相続時に誰に渡したいかということを予め指定することが可能です。

受取人を…たとえば我が子が3人いるとしたら、Aにいくら、Bにいくら、Cにいくら、というように指定できます。



なるほど。これはシンプルでわかりやすいですね。



もちろん直接渡せる財産として、不動産などもありますけれども、相続登記が必要であったり、共有にするとデメリットが生じたりします。

これに対し、生命保険は「あなたにあげる」っていう風に指定できますから、とても有利に活用することができます。

また、遺産相続の際に(被相続人の)現金や預貯金、有価証券、不動産といった財産は、ほとんど無いけれど多額の生命保険金が発生しているというケースもよくあります。



なるほど。多くの方に起こり得るケースですね。



そうなんです。

ですので、受取人を指定しないで法定相続人にと書いてしまうと、分割の対象になってしまい相続時のトラブル原因にもなってしまいます。

保険の名義書換えっていうのはいつでもできますので、出来るだけご自身の意思がしっかりしている内に誰に渡したいかを明確にしていただきたいと思います。



そういった意味でも保険の見直しは、必要であると…



ええ。最初にお伝えしたように保険に入っているからそれで良しとしないで、受取人を変えることも含め、見直しをされたほうがいいと思います。



なるほど。とても勉強になります。

保険の受取人の指定について


この保険の受取人ですが、基本的に親族以外を指定することはできません。また、親族であっても受取人にできない場合もあります。

無条件で受取人に指定できるのは2親等以内である配偶者、子ども、両親、祖父母、兄弟姉妹、孫までです

ただ、例外として上記の範囲内に親族がいない場合や、いても受取人に指定できない明確な理由があれば、その他の人を受取人にできる可能性はあります。



受取人の指定範囲にも例外もあるんですね。



はい。最近は、事実婚のパートナーや同性パートナーを受取人にすることが可能な保険会社も増えてきています。

(受取人に指定することが)可能な範囲や手続き方法などについては保険会社によって異なりますので、気になる人は保険会社に問い合わせてみてください。



時代に応じて保険会社の制度も変化しているですね。

生命保険は「日本で唯一相続税が非課税になる金融商品」


保険の受取人を誰にするかによって、保険金にかかる税金の種類が変わり、最終的に手元に残る保険金の額も変わってきます。

ここは、課税の部分になりますので、1番注意をしなければいけない部分ですね。



はい。



実は、生命保険には受け取り時に税制上さまざまな優遇が設けられています。

生命保険は、相続税評価額に加算される前に一定の控除額が認められています。

その控除額は「法定相続人×500万円」の計算で求められます。

その上限内であれば保険金という形で、保険金の受取人として設定された相続人は非課税で相続できます。



500万円!これは大きいですね。



そうです。実は、生命保険は「日本で唯一相続税が非課税になる金融商品」とも言えるんです。

たとえば…お父さんが亡くなり、2,000万円の生命保険金の受取人として奥さんと3人の子供が設定されている場合は、1人500万円までは非課税で相続が可能です。

ちなみにこの生命保険の非課税枠は相続人が保険金を受け取った場合のみ適用されます。

保険金の受取人が事実婚のパートナーや同性パートナーように相続人でない場合は、この非課税枠は適用されませんので注意が必要です。



なるほど。



もちろん非課税枠を超えた場合には、課税対象にもなります。

ですので保険金の設定額は、総資産、相続人の人数、相続税率なども視野に入れて考えらえることが大切です。



確かに、ここはとても重要ですね。

相続税対策として生命保険を活用する場合は、終身保険に加入する


あと注意点としては、相続税対策として生命保険を活用する場合は、終身保険に加入することが大切です。

先ほど説明したように生命保険は、いくつか種類があり、ざっくり言うと保障が続く期間によって定期保険と終身保険に分けられます。

定期保険は保障期間が定められている保険契約で、期間が満了すれば保障は終了します。

相続税対策で定期保険に加入してしまうと、被保険者が死亡したときには契約が終了している可能性もあります。



なるほど。終身保険なんですね。



終身保険は定期保険に比べて保険料が高いですが、保障は一生涯続きます。

人はいつお亡くなりになるか予想ができないので、相続税対策には保障が一生涯続く終身保険が適しています。

また、相続税対策をしたいけれど高齢のため保険加入を諦めている方もいらっしゃるかもしれませんが、保険料は高額になるものの90歳まで無審査で入れる保険なども存在します。

相続財産に現預金が多い方は加入を検討することで相続人の税負担を減らすことができます。

このあたりは、保険会社の担当の方とご相談なさるといいのかなと思います。



とても理解できました。

鈴木先生、本日も、貴重なお話ありがとうございました。

さいごに

何かあった時に家族にお金が入るようにと生命保険に加入されている方も多いと思います。

生命保険をうまく活用することで相続税を節税したり、相続人同士のトラブルを回避したりすることが可能となります。

今回お伝えした「生命保険と相続」についてご質問がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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