サ高住はなぜ失敗するのか?

お世話になっております。インキュベクスの丸山です。

私は以前、建築会社に勤めており、戸建て住宅と市の公共事業、両方に携わっていました。現在は「介護の王国」の行政対応を主に担当しています。

「介護の王国」は19床の小さな老人ホームですが、一方で、多くの人数が入居でき、部屋も広めの「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)という施設があります。

一見とても充実した施設ではあるのですが、今、このサ高住の運営がうまくいかない事業者が増え、問題になっています。

国の補助金が出てもうまくいかないケースもある「サ高住」

今から4年ほど前、「小さな介護施設で建築費を抑え、入居費用も抑える」というコンセプトのもと、弊社の直営施設「介護の王国」横浜市鶴見梶山を、試行錯誤しながら作りました。

ちょうどその頃、サ高住も盛んに建設されるようになりました。

私も勉強会に参加させてもらい、サ高住は「建設に国からの補助金が出るからメリットがあるのではないか」という空気を感じていました。

サ高住は、施設の部屋の広さや設備など、「このように作りなさい」という国の指針に基づいて建設されます。

また、建物1戸の建設につき建設費用の10%、国から補助金が出ます。10戸、20戸と建てるほどに多くの額の補助金が出ること、「福祉に関わっている」という社会貢献性の高さも後押しし、多くの建築会社が参入しました。

けれど、サ高住の建設には1,2億円ほどかかります。

初期コストが高く、補助金が出たとしても、家賃設定を高くせざるを得ません。高額な申込金に加え、月の家賃が20万、30万、という設定になってしまったりもします。

国の指針により、1部屋25平米以上の広さ、各部屋にトイレや水回りがあるのは魅力的ですが、年を重ねて体の具合が悪くなって要介護度が高くなると、住み続けることが難しくなる場合もあります。

結局、思うように入居者が集まらず、途中断念するケースが増加したのです。

現実的な家賃設定、質の高い介護を実現できる体制を考える

建築会社が福祉施設を作り、運営するという考え方は、間違っていないと思います。

ただ、介護事業は建物を建てておしまいではなく、20年、30年と継続していくことが大切です。

サ高住で失敗した事業者は、家賃設定、質の良い介護、人件費などのコストといった、福祉に対する視点が甘かったと言わざるを得ないでしょう。

毎月20万、30万円の家賃を払えるか、と自分のこととして考えなければなりません。

現実的な家賃設定、事業体制ができれば、介護施設の運営は建設会社にとってももう一つの柱になります。

そのためにはどうしたらいいか、地主様に提案できるくらい勉強するべきだと思います。

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